080529『「伝わる!」説明術』 梅津伸幸 ちくま新書 

「伝わる!」説明術 ちくま新書(551)

「伝わる!」説明術 ちくま新書(551)

【要約】
この著書は、アナロジー(類推)という観点から、わかりやすい説明とは何かについて書かれている。
そして、分かるということを、「物事の相互関係が見えている状態のこと」を指すことであるとしている。
では、「物事の相互関係が見えている状態」とはどんな状態か。
それは、この本のテーマであるアナロジー(類推)が成立している状態のことを指す。
以下、アナロジーの定義と具体例をあげる。
ここで、アナロジーとは「一見似ていないものごと二つを、ある部分に注目して、その特徴について似ているとみなすこと」である。
多少補足すると、ある相手が理解していない内容を、相手の理解している内容を使い説明することをいう。
具体的な例をあげると、この著書の中で株式市場における株の値段の不安定なことを、山頂にあるゆきだるまに例えて説明している。つまり、株式の値段の上下の不安定さと、一度値が動くと、「買いが買いをよぶ」「売りが売りをよぶ」現象が起こり、どんどん値が動くことを、山頂にある雪玉のどこに向かって転がっていくかわからない不安定さと、一度転がりだすとどんどん大きくなっていくに例えて説明している。
その他にもアナロジーの頻出パターンや、練習問題も掲載されている。
【書評】☆☆★★★
最近わかりやすい説明方法について研究している中で出会った一冊。
すべてがこのアナロジーで説明できるかどうかは疑問だが、一つのツールとして大変有効であると思う。
また、この本に掲載されているアナロジーに頻出パターンは、ロジカルシンキングフレームワーク構成の役に立つと感じられた。